その524)その方の『体験』の「質」と「数」を常に意識しています。



保育者研修の中で、よく



「こどもの何を見たらよいのかは、なんとなく わかるのですが、、、


保護者の何を見たらよいのかが、今ひとつ わからないんです、、。」



そうした ご質問をお受けすることが あります。





『相手の何を見たらいいのか』




これは 見る人によって 様々です。




顔色や表情を見る人も います。



楽しいのか、苦しいのか、不安なのか、そうした感情を見る人も います。




人の「何」を見なければならない・・・



そうした決まりは 特にありません。





ただ、、僕の場合は、基本的には 「目に見えている状態」も大切ですが、



それよりも 「見えていないもの」をなるべく 見ようと努めています。




「見えていないもの」




それは、その方の『体験』の「質」と「数」です。





どんな『体験』を これまでしてきたのか。


今、 どんな『体験』をされているのか。


その「質」や「数」に 意識を向けているのです。





相談支援の場というのは、基本的には、『体験』を話す場です。



お話を伺いながら、その「質」や「数」を 頭でイメージしながら


自分の中で、その方の気持ちや感情を『追体験』しているのです。





「相談の場」と同じように、日常の会話やふとしたお話をする機会の中でも、


その方のこれまでの『体験』の「質」や「数」を感じています。




楽しかった想い出の数


苦しかった想い出の数



頑張って努力してきた数


不安だっただろう数




そうしたものを、もちろん頭の中で 数えるわけではないのですが、


無意識のうちに 感じることが多いのです。




だからこそ、その人に今 必要な「ことば」が 自然に湧き出てくるのかもしれません。





人は、とても楽しそうな笑顔を浮かべていたとしても


本当は、日々苦しい状況にあって、意識的に笑顔を作っていることもあります。




逆に、とても不安に満ちた、悲しい表情をしていたとしても


実は、こちらが想像するよりも、本人は なんとも思っていないこともあります。





「目に見えている状態」が「真実」だとは 限らない。




それを数多くの面談の中で、『体験』してきたから、


身についてしまったのかもしれません。






ただ、大切なのは、相手のこころを 常に「想像してみること」です。




「どんな気持ちなんだろう」


「自分だったら どんな気持ちになるだろう」




そうやって想像してみる『習慣』を持つことです。 (げんき)






 こどもたちにとっての「絵本」というのは、「疑似体験」の場です。

 どんな気持ちなんだろう、そうやって想像してみることで 相手の気持ちを感じてもらうのです。(げんき)