【このページの3行要約】
① 「こども誰でも通園制度」の本格実施に伴い、短時間利用の家庭とも短期間で信頼関係を築く必要性が高まっています。
② 保護者の「うちの子、ちゃんと見てもらえてる?」という不安を解消するため、小さな成長や変化を具体的に伝える工夫が重要です。(4つのポイントを紹介)
③ 連絡帳や送迎時の会話で「その子ならではの具体的なエピソード」を共有することが、保育の質への信頼と安心感につながります。
「誰でも通園制度」が始まり、
これまで以上に「はじめましてのこども」が増えていきます。
その一方で、こんな不安の声も現場から聞こえてきます。
●在園児への関わりが薄くなるのでは…
●一人ひとりを丁寧に見る時間が減るのでは…
●保護者から「うちの子、大丈夫ですか?」と言われないか…
そして実際に保護者が感じているのは、
「保育の質そのもの」というよりも、
「うちの子は大切にされているか」という感覚です。
■なぜ「見てもらえない」と感じるのか?
保護者の不安は、意外とシンプルです。
●先生と話す機会が減った
●こどもの様子が具体的にわからない
●以前より関わりが薄く感じる
つまり、
「情報の不足」と「関係の薄さ」が不安を生むのです。
ここで大事なのは、
実際に見ているかどうか以上に、
見てもらえていると『感じられるか』です。
(4つのポイント)
①「短くても深い関わり」を意識する
②「見ている」を言葉にして返す
③「在園児」を「先に満たす」意識
④「保護者」との「信頼の貯金」をつくる
ポイント①:「短くても深い関わり」を意識する
時間が限られているからこそ大切なのが、
関わりの「長さ」ではなく「質」
例えば
●名前を呼んで目を見て話す
●一瞬でもしっかり受け止める
●「さっき○○してたね」と具体的に触れる
この関わりがあるだけで、こどもは
「先生は自分を見てくれている」
と感じます。
そしてこの安心感は、
そのまま保護者の安心にもつながります。
ポイント②:「見ている」を言葉にして返す
忙しいとつい抜けがちなのがここです。
実は保護者は、
園での様子を「想像できないこと」に不安を感じています。
だからこそ、
「 見たこと・感じたこと」を具体的に伝える
例えば
●「今日は○○に夢中でしたよ」
●「少し不安そうでしたが、すぐ切り替えられました」
●「お友だちに優しく関わっていました」
この一言があるだけで、
「ちゃんと見てもらえてる」
という安心に変わります。
ポイント③:在園児を「先に満たす」意識
新しいこどもへの対応に追われると、
どうしても在園児の関わりが後回しになりがちです。
ですが実は逆で、
在園児の安心が、クラス全体の安定をつくります
在園児の安心が揺れると…
●甘えが増える
●トラブルが増える
●不安定な行動が出る
これは「困った行動」ではなく、
「見てほしい」というサインです。
だからこそ、
●先に声をかける
●先に受け止める
●意識して関わりに行く
この「ひと手間」が、
結果的に全体の落ち着きにつながります。
ポイント④:保護者との「信頼の貯金」をつくる
クレームは、突然起きるものではありません。
日々の中で少しずつ積み重なった
「小さな不安」が形になるものです。
逆に言えば、
日々の安心の積み重ねがあれば、揺らがない
そのために大切なのは、
●こまめな一言
●小さな共有
●ちょっとした気づきの言語化
です。
完璧な報告ではなくていいんです。
「気にかけていますよ」というサインを届けること
これが信頼になります。
■おわりに
誰でも通園制度の時代は、
「人が増えること」以上に、
「関係づくりの難しさ」が増える時代です。
だからこそ大切なのは、
●長い関わりではなく、深い関わり
●多くの言葉ではなく、伝わる言葉
●完璧な対応ではなく、伝わる安心
です。
最後にひとつ。
保護者が本当に知りたいのは、
「ちゃんと見てくれていますか?」ではなく
「うちの子は大切にされていますか?」です。
その問いに、日々の関わりで応えていくこと。
それが、これからの時代の保育に求められる力です(げんき)
【執筆者プロフィール】
岸本 元気|感情開放療法セラピスト
(保育士・精神保健福祉士)
「感情のブロック」を解き放つ「感情開放のスペシャリスト」
福岡にある、相談支援機関「親と子のメンタルヘルス研究所」所長。
メンタル不調を抱える保護者や保育者に特化した感情開放療法セラピストとして活動。不安を開放するだけでなく「人生そのもの」を大きく前進させることを目的とした「人生の流れを変える感情のスペシャリスト」。年間120本を超える全国での講演・研修は、エンターテイメントで培った「こころに響くことば」と、専門職としての「確かな知見」が融合した唯一無二の内容として知られる。 詳しいプロフィールは、こちら
